◆既存建物の耐震診断・耐震補強技術に関するセミナー
Seminar on "Technology Dissemination on Seismic Evaluation and
Retrofitting for Existing Buildings in Myanmar"
◆既存建物の耐震診断・耐震補強技術に関するセミナー
Seminar on "Technology Dissemination on Seismic Evaluation and
Retrofitting for Existing Buildings in Myanmar"
◆既存建物の耐震診断・耐震補強技術に関するセミナー
Seminar on "Technology Dissemination on Seismic Evaluation and
Retrofitting for Existing Buildings in Myanmar"
東北大学大学院 工学研究科 都市・建築学専攻
前田研究室(性能制御システム学分野)

Maeda Laboratory
Department of Architecture and Building Science,
Graduate school of Engineering, Tohoku University.
CLT(cross Laminated Timber)を用いた建築 - スウェーデン





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ストックホルムの街並み









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Strombro Building Workshopのレクチャーと住宅の見学
CLTの製造業者、工場などと連携して、木造建築の企画、設計、施工を行っている設計事務所。EU内のCO2排出の40%が建設関係であることから、木造建築の推進を行っている。
断熱材や仕上げ材などにも、木由来の製品をできるだけ使用し、プラスチックなど化石燃料由来の製品の使用を減らしている。Nacka市のこの地区(郊外の高級住宅街)で、多くのプロジェクトを手掛けている。
見学①:集合住宅
建設中の集合住宅。CLTパネルの接合は、基本はビス打ちで、一部、せん断金物が使用されている。集成材の梁を使用しているほかは、基本的にCLTパネルで建物が構成されている。

見学②:戸建住宅
環境配慮を徹底して設計をした建物。正面外観は3階建てに見えるが、スキップフロア形式で5階建。外壁仕上げ材は、松系の木材を焼成したもの。竣工時の価格が110万ユーロ程度で、現在は150万ユーロまで値上 がりしている。





見学③:戸建住宅





見学④:集合住宅
建具(ドアや窓など)やCLTパネルなどの部材をできるだけ共通化し、建設コストを抑えて計画をした。





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設計事務所FolkhemとSwedish Wood Councilのレクチャーと集合住宅Strandparken Husの見学
https://www.dezeen.com/2014/07/03/wingardhs-strandparken-wooden-prefabricated-housing-stockholm/
スウェーデンは、元来木造建築の長い伝統を有しているが、100年程度、都市の大きな木造建築を禁止してきた。
1995年にEUに加盟し、設計規準がユーロコードとなり、木造を禁止する使用規定から、材料・構造に関わらず必要性能さえ確保すればよい性能規定が導入されたことで、木造による大規模い建築への取り組みが始まった。最大の問題は、耐火であったが、実験研究により火災の燃焼で木材の表面に炭化層ができるが、これが内部への燃焼を防ぐため、十分な厚さがあれば倒壊しない(燃え代設計の考え方)ことなどがわかり、高層建築が可能となった。
現在は、木(CLT)造の建設コストは、鉄骨造、RC造と同等であり、工場でのプレカットやユニット化を進めることで、短工期が実現し、RC造や鉄骨造に対して優位になりつつある。
このStrandparken Husの建物の建設は約7か月であった。同じ敷地で別のデベロッパーが建設した同規模のRC造集合住宅は、23か月を要しており、約1/3の工期であった(その分、投資効率が良い)。










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ルレオ工科大学シェレフテオキャンパスLulea Teknica University, Skelleftea Campusでのレクチャー
(1) 市長による歓迎の挨拶とシェレフテオの紹介
(2) Anders Gustafsson氏 (RISE, Research Institute of Sweden)のレクチャー
高層化が進んでいる。3つのポイントは、動的挙動、ロバストネスの確保
(3) Tomas Marklund (City of Skellefteå) のレクチャー
人口も雇用も増加傾向で、人口を高密度化、コンパクト化する方向で計画を進めている。町の中心に18階建ての木造
高層建築(ホテル、文化施設など)、川の橋(木造)、駐車場、物流センターなどを計画している。3500戸の住宅を計画
(多くは木造)し、500戸が建設中。50万m2のバッテリー工場も木造で計画。
電気バス
現在人口7万人から10万人を目指している。
(4)市の建築家(City of Skellefteå) のレクチャー
Skellefteaでは町のほとんどの人が木に関わっており、木を使った街づくりを推進している。産官学の連携で、古い技術
を活かしながら新しい技術を開発し、50種類の工法を開発した。2014年wood building strategyの3つの柱:①気候問
題、②ビジネスの創出、③社会。
カルチャーハウス(18階)のコンペでは、whute arkitekterの案をはじめ木造の提案が多かった。サステナブルな街の中心
施設。
(5) Prof. Dick Sandberg (Lulea University of Technology)のレクチャー
大学の紹介。
スウェーデンの木造研究の拠点。RISE, Wood center North(大企業), Wood Industry North(中小企業)、財団で連携して
プロジェクトを実施している。
木造について学ぶための施設T2 College
国内生産の木材の70%は建築用途で使用される。資金の90%が外部資金CTスキャナーで木材の内部を調べ、効率的
製材に活用するような技術。
(6)作業所T2 Collegeの見学
木造(一部RC造2階建)の技術者を養成するための作業所兼工房で、竣工直後。
ルレオ工科大の学生、民間企業の技術者、一般市民も対象に、金属加工・木工の技術教育や新しい技術を学ぶため
施設としてオープンする。
構造は、集成材の柱にCLTの壁や床を組み合わせた構造。加工機械を収納するため、2階は吹き抜けの空間が大部
分。
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Skellefteåの建物の見学
http://www.skelleftea.se/Samhallsbyggnad/Sidor/Bifogat/Trastad_Magasin_ENG_low.pdf
木造建築推進の市の政策に基づき保存、新築されたSkellefteå 市内の木造建築物を見学した。
(1)Skellefteå Bryggeri
ビールの醸造所兼カフェレストラン。在来の枠組み壁工法の建物3棟が川沿いに建設されている。
川沿の再開発計画に従い、2015~2016年にコンペを経て建設された。





(2)19世紀に建築された古い木造建築群
市の中心部には、1840年代ごろに建築された古い木造建築が現在でも多く残って使用されており、街の
景観に貢献している。





(3)CLTの集合住宅
CLTのボックスモジュールで建設された集合住宅


(4)駐車場Ekorren Parkeringshus
木造集成材の柱・梁架構とCLT床による4階建て駐車場。主要構造はすべて木造で構成されている。天井の駐車部分は木毛板の耐火被覆があるが、車路部分はCLT床があらわしになっている。柱・梁も燃え代設計で表し部分が多い。





(5)Morö Backe skola(建設中の学校)
新築中の学校の校舎及び体育館が併設された大きな建物。ホール(アトリウム)及び体育館の屋根は木造集成材トラスで、スパンは20m以上あるが、工場で先組して運搬した。壁にはCLT材を使用。合計で1万m3以上の木材を使用。





(6)Nordanaの伝統木造建築保存地区
伝統的な木造建築が保存されている地区。粉ひき小屋、裕福な家庭の住居、地方の住民が教会に礼拝する際に宿泊した施設、など様々な建物がある。





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Umeå市による持続可能な都市開発についてのレクチャーと視察
Umeå市は現在の人口12万5千人が2020年に20万人となる予想で、大きく発展をしている。年間を通して暮らしやすく魅力的でかつサステナブルな街となるよう様々な政策を行っている。電気自動車など化石燃料を使わない交通網や、建築の省エネルギーなどの取り組みをしており、EU内でも高い評価を受けている。町の中心部と2つの大学が位置する地区(University City)に分かれているが、その中間にUmeå Art Campusという新しい地区を作り町全体の一体化を図る計画を進めている。





(1)増築した事務所ビル①
鉄筋コンクリート造3階建の既存の事務所の上に木造で4階分増築した事務所ビル。集成材の柱梁架構で構成されている。CLTを使用しているかは不明。
人口増に伴い、中心街の建築の高さ制限が緩和されたことにより、高さ方向に増築する建物が増えている。
高さ方向の増築の場合、重量の軽い木造建築は、基礎への負荷を減らすことができ大きなメリットがある増築に合わせて、地下水をくみ上げ熱交換する空調システムを導入し、既存部分と合わせて使用エネルギーの削減を実現した。





(2)増築した事務所ビル②
上層2層が木造で増築された事務所ビル。





(3)木造バス停
街中心部のバス停を木造化し、エコ環境都市のシンボルとして活用している。





(4)ショッピングモールの増築
既存のショッピングモールの建物の上に、CLTによるメゾネット形式の集合住宅(長屋形式)を増築している。計画当初から、RC構造でショッピングモールを建設して営業を開始した後に、上部にCLTで集合住宅を建設する計画であった。現在、CLT部分の工事中。CLTパネルを主体として、部分的に鉄骨柱・梁・ブレースを併用し補強する構造





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Växjö市による持続可能な都市開発についてのレクチャーと視察
Växjö市は現在の人口9万1千人で、毎年1千人のペースで人口増加している。BBCの番組で”GreenestCity in Europe”と紹介され、それをキャッチフレーズとしている。
1995年以降、木造の高層建築が可能となったことから、木造建築を推進し、現在は年間1100棟程度が建設されている。高層建築で木造の割合は10%程度であるが、CLTが供給不足になりつつある。今後、生産工場がスェーデン国内に新たに建設される計画がある。
Växjö市は木造建築促進のための条例を制定し、建築を木造に限定する地区を設けるなどして、普及推進をしてきた。2013年にWooden Strategyを制定した。市有建築で木造の割合は、2015年で25%に達し、2020年に50%を目標としている。


Växjö kommun Reception(Kommunhusets Entre)市役所建物の前に増築した木造平屋建のエントランスホール。





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Växjö市の開発地区の建築物の視察
Limnologen地区、Limnologen Syd地区を開発するUmeå市は現在の人口12万5千人が2020年に20万人となる予想で、大きく発展をしている。年間を通して暮らしやすく魅力的でかつサステナブルな街となるよう様々な政策を行っている。電気自動車など化石燃料を使わない交通網や、建築の省エネルギーなどの取り組みをしており、EU内でも高い評価を受けている。町の中心部と2つの大学が位置する地区(University City)に分かれているが、その中間にUmeå Art Campusという新しい地区を作り町全体の一体化を図る計画を進めている。
(1)集合住宅Arken
https://vaxjobostader.se/vara-projekt/arken-1
Limnologen地区で2年前から始まったプロジェクトで、木造集合住宅3棟が建設工事中。
CLT壁・床による構造で、バルコニー部分のみ集成材柱が使用されている。CLTパネルはスェーデン製(Martinson)。床は、振動防止や遮音のため、CLTパネルの上に砂利を敷いてから断熱材を入れて仕上げる。
内装は、石膏ボード仕上げで、CLTは表しとはしていない(スプリンクラーは設置しない)





(2)屋内テニスコートSödra Climate Arena
Södra社(木材関係の会社の集合体)が運営するテニススクールの建物。内部にテニスコートが4面ある。
スパンは30mで集成材の大断面の梁でスパンを飛ばしている。輸送道路の制限から30mの梁は分割して運送し、現場で接合された。
インブルドンで優勝したステファン・エドベリがコーチを務めており、ウインブルドンの優勝カップが展示されている。





(2)屋内テニスコートSödra Climate Arena
Södra社(木材関係の会社の集合体)が運営するテニススクールの建物。内部にテニスコートが4面ある。
スパンは30mで集成材の大断面の梁でスパンを飛ばしている。輸送道路の制限から30mの梁は分割して運送し、現場で接合された。
ウインブルドンで優勝したステファン・エドベリがコーチを務めており、ウインブルドンの優勝カップが展示されている。




(4)集合住宅Ekologen
5階建でCLTパネルで壁・床を構成する構造で、一部外廊下部分は、集成材の柱梁フレーム構造。外装は木材表しであるが、内装は耐火のために石膏ボード仕上げとしている。





(5)集合住宅Geologen
1階または2階までをRC造とし、その上部にCLT構造の集合住宅を載せている。1,2階は学校などの公共施設が入る。CLT構造部分(バルコニー)がRC部分にオーバーハングする構造となっている。視察時にちょうどCLT床パネルの吊り込み作業を行っていた。





(6) 設計事務所Arkitektbolaget
18名の設計事務所で、Växjö市の政策に合わせてLimnoloigen、Viedeum Sciene Park(Uppfinnaren)、Växjö kommun Reception(Kommunhusets Entre)など、多くの木造建築の設計を手掛けている。





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Linne大学でのレクチャー
Jan Oscarsson講師によるレクチャー
1990年代にオーストリア・グラーツ工科大学でCLTの開発が始まった。この10年間で生産が飛躍的に拡大しており、ヨーロッパの生産量は2016年に67万m3で2020年に120万m3と予想されている。
生産会社は、Binderholz、Stroma Enso、KLH、Mayr Melnhof(ここまで、オーストリア)、Martinson(スェーデン)の5社がある。今後、Stora Enso、Sodra、Setraの3社が工場の建設を予定している。
キャンパス内の木造施設Charlieに計測器を設置して、雨量、温度、湿度、加速度、変形などを長期的に計測し、性能の変化を調べることを予定している。
研究として、以下のテーマを行っている。
- 施工用のテントの有効性・必要性
- CLT床-壁接合部の鉛直荷重支持性能と圧縮変形
- 実大架構による鉛直荷重
CLT構造の耐火については、メラミン系接着剤を使用すると0.65mm/分の炭化率、熱に弱いポリウレタン系接着剤を用いると1.10~1.30mm/分として設計する。





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Växjö市の開発地区の建築物の視察
14日に視察したLimnologen Syd地区の建設工事中の集合住宅の周辺にある完成した木造建築を視察した。
(1)集合住宅Limnologen
Limnologen Syd地区の開発で初期の2006年~2009年に建設された集合住宅。設計はArkitektbolaget。
湖に面し、すべての部屋のバルコニーから湖が見えるよう設計されている。外壁は木造仕上げとするため、バルコニーで火災時に窓から上層階への延焼を防止するよう計画されている。





(2)研究施設Viedeum Sciene Park(Uppfinnaren)
Linne大学のキャンパス内にある木造4階建ての研究施設。民間企業などが集まり研究・開発を行っている。木造集成材の柱梁によるフレーム構造と思われる。建物両端部の上部が10m程度張り出しており、集成材の斜材で吊るような構造。


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Malmöの高層建築Turning Torsoの視察
コペンハーゲンに向かう道中、Malmöでスカンジナビアで最も高い建物であるTurning Torso(高さ193m、地上54階、サンティアゴ・カラトラヴァ設計)を視察した。三角形の平面を上層に向かってひねった形状が特徴的な建物である。
周辺のウォーターフロント地区は、開発が進み素晴らしい景観が形成されている。





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Copenhagenでのフェアウェルパーティー
すべての視察を終えて、コペンハーゲンに到着し、プラネタリウムのレストランでフェアウェルパーティーが開催された。素晴らしい景観と食事とともに、1週間の視察旅行を振り返り、今後のCLTの普及への思いを強くした。




