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​木造・木質化建築視察in福島

2019年9月10日に宮城県CLT等普及推進協議会 設計部会の見学会に参加し、福島県の木造・木質化建築を視察しました。

国見町役場

「町民が集う未来に向けた森の庁舎」をコンセプトに建設され、2015年5月に開庁されました。地上3階、地下1階のS造+RC造で、柱、梁に地場産木材を用い木質化した建物です。地域の人に親しみを持ってもらう目的で、壁や床材には福島県産材の天然木を採用しています。3階の会議場では、議会が開催していない期間を開放し、イベントなどで広く市民に使われているそうです。

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■道の駅 国見あつかしの郷

東日本大震災からの復興のシンボルとして、情報発信と防災の基地として建設されました。大きな波型の屋根は、街のシンボルであるあつかしの山をイメージしているそうです。鉄骨造に地元の杉の木2000本をルーバーに加工して使うことで木の温もりを感じる施設となっていました。。施設の中には宿泊施設や子供が遊べる木育広場が設置され、県内外からの宿泊客や子育て世代にも多く利用されています。道路利用者の休憩所としてでなく、道の駅を拠点とした町内の観光施設として地域の活性化につながっている建物でした。

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■宮畑遺跡史跡公園体験学習施設

市民の誇り・復興のシンボルとして建設された体験学習施設です。印象的なエントランスホールは鉄筋コンクリート造の駆体の上に構造用合板を用いた立体木造トラス構造の屋根採用し、縄文土器をモチーフとした六角錐ユニットの組み合わせています。多目的ホールはLVLを用いた木造格子構造の屋根で縄文時代のうねる大地を表現され、縄文時代の木造建築技術を現代建築に置き換えた木造建築物となっていました。

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■いいたての道の駅 までい館

東日本大震災後全村避難となっていたが一部地域を除き平成29年4月避難が解除されたことに伴い地域の福祉拠点や農業復興のために整備されました。木造の平屋建てでエントランスの「までいホール」にはたくさんの植物や花がつるされ、花かごのような空間となっていました。施設全体に杉がふんだんに使われていて、とても温かみのある雰囲気でした。「までい」とは「手間暇を惜しまず」「丁寧に」「心を込めて」「つつましく」といった意味の方言だそうです。飯館村の新たな産業や雇用の場としてシンボル的な建物となっていました。

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■小高交流センター

2011年東日本大震災の福島第一発電所の事故の放射性物質による影響で、避難地域の規制が解除され、復興まちづくりの拠点として建設され、2019年1月にオープンした多世代交流施設でRC造と木造(屋根)の平屋の建物です。人工芝が敷いある屋内運動場、避難住民の一時的な滞在施設、エクササイズ&トレーニングスペース、交流スパース、子育てサロン、チャレンジオフィス、物販・飲食スペースが敷地内に配置されています。地域の活性化、コミュニティーの再構築を目的とし、生活の中で気軽に立ち寄れる場所として帰還した市民の皆さんに広く使われている施設でした。

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■小高の商家

相馬の野馬追の舞台である南相馬市小高地区の中心部に位置する古い商家のリノベーションを、宮城県CLT等普及推進協議会・設計部会の安達揚一設計部会長(SPAZIO建築設計事務所)が手掛けています。震災の影響で多くの住民が避難し、以前の街並みや賑わいが失われるなか、できるだけ元の建物を活かしながら、リノベーションが行われています。保存する場所、改修する場所、古材の再活用が母屋回収の原則だったそうです。「離れ」「母屋」「広場」の3つのエリアにわたるリノベーションで、伝統的な職人技術や古い材料と新しい材料の調和など、木造ならではの素晴らしさを感じることができる建物でした。 

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