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宮城県CLT協議会の皆さんと高知、松山、香川、大阪のCLT建築の視察に行きました。

 

高知県

北川村温泉

(意匠設計:倉橋建築計画事務所、構造設計:日本システム設計

 地上2階建+地下1階、CLT造+RC造)

温泉を有する宿泊施設で、1階には、吹き抜けを有するエントランスホールやレストラン、温泉入浴施設、2階に客室などが配置されている。1階に6.8mの大スパンを確保するため、2階のCLTパネル壁で2階壁を吊り上げる構造計画(設計者はウォールガーダーと呼んでいる)を採用している。設計はCLTパネル工法・ルート3。準耐火構造である宿泊施設でコストを抑えてCLTを表しとするため、一部RC造で防火区画を設けている。CLTパネルは燃え代設計して表しとする部分と、耐火被覆(石膏ボート)仕上げの部分をうまく併用し、木材が印象的な空間を作っており意匠面でも高いレベルの建築である。木材は北川村を中心とする高知県産材を使用している。
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高知県立林業大学校
(意匠設計:細木建築研究所、構造設計:桜設計集団一級建築士事務所)

CLT棟、耐火棟、在来工法棟、キャノピー棟の4棟からなり、別棟の自転車置場にもCLTを使用している。

RC造の耐火棟を挟んで、事務室・教室等を有するCLT棟と、大会議室を有する在来工法棟に分けることで、各棟を1000m2以下とし、準耐火構造で燃え代設計をしている。CLT棟は、CLTパネルによる壁や床、吹き抜け空間がうまく構成されており、様々な建産材を仕上げに用いて教材として活用するなど、様々な工夫がされている。在来工法棟では、多目的実習室は集成材を組み上げた架構で屋根を構成し、印象的な空間である。

県内外から学生が集まり、林業の専門家を養成する学校として活用されている。

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JR高知駅
(意匠設計:内藤廣建築設計事務所、構造設計:川口衞構造設計事務所)

JR高知駅を高架化して改築するにあたり、新しい高知駅のデザインが、高知県が主体となって組織された景観検討委員会で検討された。建築家の内藤廣氏もアドバイザーとして関わり、県内外の有識者とともに、高知駅とその周辺部のデザイン方針について議論が交わされた。同委員会では県民からのアンケートをもとに,「高知らしさ」をめぐってより細かな要素(大屋根の構造形式や木材の選定,ファサードと駅前広場の構成,照明のあり方など)も検討され、県産の杉を豊富に使った大屋根が計画された。

木造のアーチ梁は、駅の北口広場に設けられるRCの庇(キャノピー)から建ち上がり、ぐるりと弧を描いて、南側高架上のSRC支柱で受け止める形状となっている。両端の距離は約45m、桁行は約61mで国内屈指の大架構の駅空間となり、高知の新たなランドマークとなった。

アーチ梁は、県産の杉の集成材で、鉄骨の下弦材と組み合わせたハイブリッドのトラス構造とで構成されている。市内の加工所で試作された集成材は県立森林技術センターでの試験を経て、大架構を実現できる強度が確認された。    

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愛媛県
サイプレス・スナダヤCLT工場

2018年3月に完成した新工場。ヨーロッパからの最新式の木造加工機械を導入し、これまでにない高効率の生産性を実現している。愛媛県では桧の生産が盛んであることから、桧を用いたCLTを生産している。2017年度には、桧を中心に14万m3の国産原木を消費した。

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(株)カネシロ事務所
(意匠設計・総括:鍋野友哉アトリエ、構造設計:福山弘構造デザイン)

木造軸組構法にCLT床版を用いることで、構造設計の大臣認定ルート等を避け、在来軸組構法として設計している。1階オフィス空間のスパンを確保するため、2階床の水平構面としてCLTパネルを使用している。また、平面中央の三層吹き抜けの階段は、長いササラ壁と段板をCLTで作られており、木質感豊かでこの建築の見せ場となっている。

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(株)シンコール事務所兼ショールーム
(意匠設計:島田設計、構造設計:TTR設計)

CLT工法による2階建の事務所兼ショールーム。壁や床にCLTパネルを使用し、建物正面の吹き抜けと大きなガラス窓が印象的で、素晴らしい空間を実現している。仕上げ材にもCLTパネルを効果的に使用し、石膏ボード・クロス仕上げの「白」、金物の「黒」と、木材がとても良いバランスで素敵な空間となっている。

​香川県内のCLTの供給体制を整備するために協議会を構成し、製材工場などとも連携して、建産材を活用している。

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竹中研修所「匠」
(設計・施工:竹中工務店)

CL地上躯体すべてに国産杉材のCLT(直交集成板)パネル工法を採用し、外装にも地域産の国産材を用いることで、緑豊かな自然景観と調和する建築であること、また人材育成、技術伝承の場である研修所として、「匠の心=棟梁精神」を受け継ぐ木造建築の実現を目指した。天井・内壁の大部分をCLTの素地仕上げとし、木の温もりに包まれた空間を実現している。

CLT壁パネルの梁形や垂壁をなくすことで、床から天井までの大開口を実現し、「清和台の森」に開かれた宿泊室としている。また、CLT床パネルをはね出すことで、大開口への日射を遮る庇とし、宿泊室内外部に連続するCLT天井を実現するとともに、外観に陰翳のある表情をつくり出している。

二重床内に設備を集約し、内装に接合金物が一切見えないよう工夫することで、天井・内壁の大部分をCLTの素地仕上げとし、木の温もりに包まれた空間を実現している。

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